今年もこの歌と過ごす一日がきました。
「三月の水」
枝 石ころ 行き止まり 切り株の腰掛け 少しだけ独りぼっち
ガラスの破片 これは人生 これは太陽 これは夜 これは死 これは銃
この足 地面 この身と骨
道路の響き 銀色の輝き 争い 賭け 弓の射程
魚 閃光 廊下の足音 擦り傷 こぶ 何でもない
やり 釘 先端 爪 ぽたりぽたり この物語の終わり
トラックが運んでくる一杯のがれき 柔らかな朝日の中
銃声 丑三つ時
一マイル やるべきこと 前進 衝突
女の子 韻 風邪 おたふくかぜ
家の予定 ベットの中の身体
立ち往生した車 ぬかるみ ぬかるみ
そして川岸が語る 三月の水
人生の約束 心の喜び
浮遊 漂流 飛行 翼 鷹 鵜
春の約束 泉の源
最終行き 落胆した貴方の顔
喪失 発見
蛇 枝 あいつ あの男
貴方の手の中の棘 そしてつま先の傷
川岸が語る 三月の水
それは人生の約束 それはあなたの心の喜び
一点 ひとつぶ 蜂 ひとくち
瞬き 禿鷹 突如の闇
ピン 針 一撃 痛み
牛 なぞなぞ 狩蜂 染み
枝 石ころ 最後の荷物 切り株の腰掛け 一本道
そして川岸が語る 三月の水
絶望の終わり 心の喜び 心の喜び 心の喜び
この足 地面
枝 石ころ これは予感 これは希望
という歌です。遠く離れたブラジルでは三月は雨期の後半、この時期は洪水や水害が起こることも少なくないのだそうです。
夏の終わり、雨期の終わりを知らせる雨とイメージを断片的に置かれた歌で、
メロディの雰囲気との違いに若かった私は不思議に思ったものでした。
この水はポルトガル語でも英語でもwatersのように複数形であらわされます。
海や水域を指すときに使われるのだとか。
雨粒の集まりをイメージさせますがまた日本とは違った感覚かもしれません。
そしてやはりこの歌と3月11日はセット。
数年前に菊地成孔さんがラジオで語ったことがきっかけです。
私もあの日は、海辺に近いところに住んでいて夜中は真っ暗な学校の支援クラスで過ごしました。
夫は帰ってこれず、担任していた自閉症のお子さん家族と静かに過ごしたことを思い出します。
(妊婦ということで畳のある部屋に入れていただいた)
だんだん状況が重くなり、海水に使っていた方が救助されてずぶぬれでやってきて、
知り合いに会えたときに大きな声で泣いていたことや、
隣の部屋にはたくさんの高齢者施設からの方々が。
スタッフさんたちは3回目の救助に向かわれた際に亡くなられたと聞きました。
あまり震災についての精神論はしたくないのです。
災害の多い国で起こった悲しい出来事でした。
そしてそれでも、この歌を聴きます。
これは予感、これは希望
自分の中に見つけられるものだと思っています。
こんな大災害がなくても、人は毎日変わっていっているとこの時期の雪解け水がたくさん流れる川を見ると思います。
コメント